舞台から降りる時。
彼女は言った。
「もし、彼から離れそうになったら、彼が踊ってるところ見せてほしい」と。
私にとってこの言葉はとても印象的で、忘れられない言葉になった。
続けて彼女は
「愛嬌してるところとか誰かと絡んでるところよりも、ジミンがバンタンのジミンとしてステージに立ってる姿を見せて欲しい。
私が今日まで、いつ見ても惚れ直すのは、絶対にこちらからは手の届かないステージで、怖いくらい輝いてるジミンだから」
と言った。
正直驚いた。
彼女からこんなにも意思の強い言葉を聞いたことがなかったんだ。
色々な人から頼られる位置にいる彼女。
後輩からも同級生からも信頼される彼女。
だけど、彼女の本音はなかなか聞くことができない。多くの人の本音を聞く彼女は、自分から本音は言わない。彼女から発することはなかなかないんだ。
それはプラスのことにしてもマイナスのことにしても。
こんなにも長くいるけど、なかなか聞いたとこなんてなかった。
だから、驚いた。
その時、ああ、これは彼女の本心なんだって、思った。
彼女にとってはいつもどおり話しているのかもしれない。
けど、この長い月日の中で聞いた言葉の中で、この時の彼女の言葉は私の心にずっしりきたんだ。
今までにない言葉の重さを私はその時感じた。
その言葉を聞いて以来、私は考えるようになった。
私なら…何を見せて欲しいと頼むだろうか。
もし、彼から離れそうになる時が来るとすれば、私は何を見せて欲しいのだろうか…
考えたことがない。
そもそも、彼から離れるなんてこと、今の私には考えられないんだ。
でも、もし一つ選ぶとしたら…
私は、きっとこれをお願いするのだろう。
会場を見渡して、嬉しそうに笑う彼の顔を見せて欲しい、と。
私にとってそれが原点なんだ。
その顔はきっと一生忘れなくて、
私にとって、何度でも、きゅっとなる…
そんな
そんな愛しい顔なんだと思う。
どうか、これからも綺麗な風景が貴方のもとにたくさん訪れますように。